a shooting star
「キラ、キラ!!」
僕、呼ばれてる…早く起きなきゃ。
起きなくちゃ、いけないんだけど…。
体が動かないんだ。動かせないんだ。
君の声に答えることすら出来ない。
……ごめんね、アスラン。
俺とカガリはコックピットから放り出されていたキラをみつけて、急いで連れて帰った。
果てしない宇宙に放り出されていたキラは俺が抱きしめてすぐに気を失ってしまった。
それからずっと目を覚まさない。
どこにも異常は無いはずなのに、目を覚まさないでずっと眠り続けている。
せっかくキラが願っていたように戦争は終わったのに。
もう苦しむことなんて無いのに。
一緒にいられるのに……
「キラ、今日はいい天気だから少し散歩でもしようか?」
「…」
返事が無いのはわかっているけど、やっぱり寂しい。
「声が聞きたいな…お前のさ」
少し哀しげに微笑んでぽつりと言う。
静かに眠り続けるキラを車いすに乗せて部屋を出る。
「もうあれから1年だよ、キラ」
あれから1年、世界は平和になりつつある。
…それはキラのおかげでもある。
キラが眠り続けている原因は精神的なものだろう。そう医者は言っていた。
戦争中、いろいろと傷ついていたのだから当たり前だよな。
いくつもいくつも傷を作り、ずっと傷を治せずに悪化させ続ける。
治すことすら拒否しているようにも見える。
…そして傷は化膿しだす。
そんなキラだから、こうなってしまったのは当然なのかもしれない。
それでも願ってしまう。
『名前を呼んで欲しい』
『綺麗な紫水晶で俺を見て欲しい』
『笑って欲しい』
「…それは、わがままだよな」
今、一緒に生きている。
それだけで十分だ。
死んでもおかしくなかったんだ、俺とキラは。
あの戦争で人がたくさん死んだ。
俺たちだって、いつ死んだっておかしくない状況だった。
生き残れたことに感謝すべきだ。
戦争が終わらせられたことにも感謝すべきなんだろう。
キラが望んだ終戦。
…でもキラは眠り続けている。
「もう目を覚ましてもいいんじゃないか?…もう傷を治すことを考えてもいいんじゃないか?…キラは十分過ぎるくらいに傷ついてるよ」
そう。傷を治すことを拒否し続けていたら、いつまでたっても先に進むことなんて出来ない。
治る傷も放っておいたら治らなくなってしまう。
…手遅れになってしまってからでは遅いのだ。
「だからキラ、目を覚まして。一緒に治していこう…二人ならきっと出来るから」
キラの正面に立って、手を握って言う。
閉じたままの目を見ながら、その目がいつか開かれることを願いつつ。
――紫水晶の綺麗な瞳が自分を見てくれることを信じて。
急がなくてもいい。
でもあきらめるとか、そういうことじゃなくて。
ゆっくりと、でも確実に治していければいつか……
「キラ、今日はもう帰ろうか?」
そう言いながら額に軽くキスをして、来た道を帰る。
「少し寒くなってきたな…ちょっと長居し過ぎたか」
クスクス笑いながらキラに話しかける。
「今日は星、見えるといいな…」
『星に願いを』なんて思う。
そんなことにすら、すがってしまう。
でも信じてる。キラは必ず目覚めると。
何故かはわからないけど、そう信じている自分がいる。
「夜になったら二人で星、眺めような」
星に願いを。
キラが目を覚ましてくれますように、と。
-end.
後書き。
ぐだぐた〜…痛
灰色…??
なんかシリアスというかダークというか…って感じなのがアスキラは多めですね、今のところ。
甘いのとかほのぼのとかも書きたいですね〜。
次アスキラ書くときは甘いの書こうかな…
2004/10/17